2025/06/26 09:07

波佐見焼(はさみやき)は、長崎県で作られる陶磁器で、波佐見焼としてブランド化したのは最近ですが、焼き物としては、江戸時代から400年続く伝統工芸です。
16世紀頃に波佐見で焼かれていたのは陶器で、その後、高価だった磁器食器の量産に成功し庶民の器にした歴史があります。

波佐見焼の主な製造工程は、原料の調合、成形、素焼き、下絵付け、施釉、本焼き、上絵付けです。
波佐見焼は輪島塗と同じく分業制が特徴で、それぞれの工程を専門の職人が担当することで、高品質な製品を大量生産しています。

詳細を見てみると、

1. 原料の調合:
波佐見焼の主な原料は、天草地方で採れる陶石(とうせき)です。陶石という白い石陶石を細かく砕き、水と混ぜて粘土状にします。
この陶石は焼き縮みが少なく、適した粘り気があり、焼き上げてみると上品な白さが出て、ガラスみたいに固くなる「磁器」専用の石です。
波佐見焼の特徴である、透けるような白磁の美しさの秘密がここにあります。

2. 成形:
成形にはローラーマシン、鋳込みなどがあります。そのために、石膏で基本となる型を作ります。
「型」を作るとき、一番最初に必要なのが「型」を作るための元になる「原型」です。
「型屋」と呼ばれる職人が、器を作りのベースとなるたくさんの型を作っています。
上下で挟み込む圧力成形の型や、内部に空間のある壺などの陶磁器を作るための鋳込み型など、様々な種類の型があります。

同じ形のやきものをたくさん生産する為に使う型だから「使用型」と呼ばれているそうです。
この使用型を使って、生地職人さんがやきものの「 生地 」を作ります。

手だけで自由に形を作る手/機械ロクロや手びねりもありますが、波佐見焼のほとんどが型を使って作ります。
特に鋳込み成形は、ドロドロの土を型に流し込んで成形する方法で、波佐見焼の大量生産を支えています。

 ・ローラーマシーン
 石膏型と金型を回転させ、圧力をかけながら土を延ばして、形を作ります。

 ・鋳込み
 土を液体状にして、型に流し込んで固めます。

3. 焼成前の生地作り
鋳込み成型(いこみせいけい)では、ドロドロの土を使用型に流し込んで作ります。

生地がやわらかい内に、余分な土を削ったり、穴を開けたりし、
その後、皿板(さらいた)っていう板の上に並べてしっかり乾燥します。

生地が乾いたら、食器の裏側やふちを”カンナ”で削ったりし、とがった角を丸くしたり、形をシャープにします。
このひと手間が波佐見焼の素晴らしさにつながるのでしょう。

その後、表面や角がきれいになるように、スポンジで磨きます。
細かい部分は、生地屋さん特製の小さなスポンジで丁寧に拭いていきます

次に「生地屋」と呼ばれる職人が、型から生地を作ります。
「鋳込み」には、排泥鋳込みと圧力鋳込みがあり、
排泥鋳込みは中空の石膏型に粘土状にした陶石を流し込んで成形し、
圧力鋳込みは石膏型に圧力を加えながら粘土状にした陶石を注入して成形します。
それらを日干しで乾燥させるまでが生地屋の仕事になります。

4. 素焼き:
生地ができたら次は「窯元さん」へ。
成形した生地を約850~900℃以上で8時間ぐらい焼成し、強度を高めます。
これを「素焼き(すやき)」と言い、素焼きした生地の事は「素焼き生地 ( すやききじ )」と呼ばれます。

5. 下絵付け:
素焼きした生地に絵付けをします。
波佐見焼では、染付と呼ばれる藍色の絵付けが特徴的です。
素焼き生地に装飾を施して商品へと仕上げるのは窯元の仕事です。

やきもの用の絵具の中でも呉須 (ごす) 絵具(焼くと青くなります)が代表的ですが、
現在では、呉須だけでなく、カラフルな色の絵具が開発され、多様な商品展開へと繋がっています。

続きは次回。
輪島塗もそうでしたが、大変な工程を経て、素晴らしいものが出来るのですね。
これを知ると伝統工芸品の奥深さが良くわかります。


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