2025/05/29 14:59
◆輪島塗
工芸品は、日本が誇る職人の技法が特色の素晴らしい作品です。
日用品として使うことはもちろん、鑑賞にも耐えうる、優雅な外観や、
長く使い続けられる長年培った技術が詰まっています。
しばらく、切子の紹介が続きましたが、
二番目にご紹介するのは、輪島塗です。
輪島塗(わじまぬり)は、その名の通り、石川県輪島市で生産される漆器であり、
木地に、生漆と米糊を混ぜたもので下地を何層にも厚く塗った丈夫な漆器です。
伝統的工芸品に指定されています。
以下のような作り方をします。
1.木地つくり
2.木地固め(下地づくり)
3.布着せ(ぶぎせ)(下地づくり)
4.惣身地付け(そうみじつけ)(下地づくり)
5.下地づくり(最終工程)
6.中塗り
7.上塗り
やはり、すごい手間をかけて作っているのですね。
次回は、各工程を細かく見ていきたいと思います。
輪島塗の歴史を紐解いてみると、
平安時代の遺構である石川県輪島市の釜屋谷B遺跡(かまやだに Bいせき)で漆製品が発掘されています。
輪島塗の特徴があるものとしては、穴水町の西川島遺跡群御館遺跡(室町時代)で輪島沈金と同じ技法がみられ、珪藻土の下地が確認されています。
現在のような輪島塗の技術が確立したのは江戸時代前期と伝えられています。
能登半島北端にある輪島は北前船などの寄港地であり、この時期には既に海運の利を生かして販路を拡大していたようです。
また陸路での行商もおこなわれており、丈夫さが売りの輪島塗は日本各地で使われていました。
沈金の始まりは江戸中期、蒔絵は江戸後期と言われています。
(沈金、蒔絵についても次回解説します。)
1977年に重要無形文化財に指定され、現代においても輪島塗は高級漆器として広く販売されています。
また輪島塗のバイオリンが製作されるなど、器以外への応用も模索されています。
さらに、富裕層向けに一点物の美術工芸品を制作したり、輪島塗のアクセサリーを製作する工房も現れてきており、
様々な方法で伝統産業としての維持が模索されています。
ただ、2024年1月1日に発生した能登半島地震により、工房や店舗が被害を受け、生産の再開が見通せない状況となっています。
輪島朝市周辺の火災で多くの事業所が焼失し、他にも工房などが被害を受け、材料や道具を失った事業者は多数いるといいます。
義援金の受付なども始まっています。
一度、失われてしまうと、復活させるのは、至難の業ですから、日本の伝統工芸品を絶やさない為にも、復活してほしいものです。
一時、どこでもよしやでも扱っていたのですが、現在は仕入れていません。
しかし、能登の復興を手助けするため、また仕入れを模索していきたいと思います。
#工芸品
#輪島塗
