2025/05/26 09:19

市松文様とは、格子文様の一種で、二色の四角形(正方形または長方形)を交互に配した模様のことを言います。
ですから、そもそも格子柄と市松模様は同じ階層で比較される文様ではありません。

以前、格子文様のところでも説明しましたが、
江戸時代中期の歌舞伎役者、佐野川市松が舞台衣装の袴に愛用していた文様を、同時代の女性が取り入れたことから広まったといわれています。
市松登場以前は、は石を敷き詰めた形に似ていることから、石畳文(いしだたみもん)と呼ばれていました。
さらに、平安時代には「霰(あられ)」という名称で、有職文様(ゆうそくもんよう:公家社会で使われた伝統的な文様のこと)として
公家の装束や調度品に用いられていたようです。

このように市松文様は、呼び方は異なるものの、文様自体は非常に古くから存在し、さまざまな工芸品にも用いられていました。

正方形や長方形を格子状に並べたデザインは上下左右に途切れることなく続き、終わりのないイメージであることから
「永遠」、「発展」、「繁栄」の意味を持ちます。 そこから「子孫繁栄」や「事業拡大」などに繋がる縁起の良い柄と言われています。

「格子柄(格子文様)」とは縦縞と横縞が交差した模様のことです。
「格子」とは、建築に使われる建具のことで、その木材などが規則正しく並べて作られている様子から、この文様の意味にも転じています。

「格子柄」として色や縞の幅などに定義があるわけではないので、「基盤縞」「弁慶縞」「千鳥格子」といった、
様々なデザインの格子柄が古くから存在しています。

また、市松文様自体にも、色・四角の大きさに明確な決まりはありません。
よって、配色やデザインなどさまざまな市松模様が生み出されています。
単調な意匠なので、他の文様や絵などと組み合わせてデザインされることも多いです。

「格子柄」は、日本だけではなく海外にもあり、色々な言い方があって、チェック、格子縞、碁盤縞、碁盤格子などとも呼ばれます。
種類としてくくると、チェック柄、格子模様、弁慶縞、千鳥格子、ブロックチェック、
ハウンドトゥース、スターチェック、タータンチェック、 ピンチェック、バッファローチェック、
グラフチェック、タータンチェック、グレンチェックなども同じ意味です。

色々な言い方がありますが、それくらい世界中で親しまれている文様ということですね。


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