2025/02/17 16:04

江戸切子と薩摩切子はとくに有名ですが、
それ以外にも天満切子、小樽切子などがあります。
前回に続いて、今回は、小樽切子について書いてみます。

■小樽切子
知名度という点であまり代表的とは言われませんが、小樽切子というものもあります。

日本では江戸切子と薩摩切子が有名ですが、クリアなガラスに色ガラスを被せた物が一般的です。
一方、「小樽切子」はそれらと違い、色ガラスの上に色ガラスを被せ、そこに文様を刻んでいきます。

小樽切子は、旧来より切子の最終工程である磨き作業を熱処理で行なうことで、
ガラスの表面の鋭角を取り除き、カット面を丈夫で傷つきにくくし、永く愛用してもらえるように加工されています。

●小樽切子の由来
明治時代に小樽でガラス産業が発展し、東京の深川にて創業し、
現在は北海道小樽にあるガラスメーカー「深川硝子工芸」が、江戸切子の職人に技術を学びました。
そして、小樽で切子作家と協力して小樽切子を開発し、現在に至ります。
最初は薬品の保存ビンなどを製造していたらしいですが、昭和中ごろよりガラス食器の分野へと参入しました。
それから今日まで食器や生活雑貨、カットグラスなどの食器と多岐にわたるガラス製品を作り続け、
受け継がれた「吹きガラス」の技術で素晴らしい作品を世に送り出しています。

●小樽切子の特徴
色ガラスの上に色ガラスを被せ、そこに文様を刻んでいます。
二色被せのクリスタルガラスを多用していることが何といっても小樽切子の特徴です。
また、他のガラスに比べ硬度が高く、熱に強い特性がある硬質ガラスを使用していることも特徴です。
切子加工が非常に難しいため、硬質ガラスの切子商品はほとんど世に出回っていません。

江戸切子や薩摩切子などの多くは、1色のみのガラスを削って文様を施していき、
色を残した部分との対比によってデザインを浮き上がらせています。
一方、小樽切子は、琥珀のアンバー色ガラスに鮮やかな色ガラスを重ねた二色被せガラスを使用おり、
カット後の磨きをバーナーで焼き上げる「ファイヤーポリッシュ」という技法も特徴です。
切子の最終工程である磨き作業を熱処理で行うことで、ガラスの表面の鋭角を取り除き、カット面を丈夫で傷つきにくくしています。

#工芸品
#切子